%コード・イエロー%
必死に背伸びをするけど、もともと平均身長のない私では、
どうあがいても、届きそうにない。
脚立を持ってこなきゃだめか、とあきらめかけたその時、
私の後ろから、大きな腕が伸びてきて、そのカルテをあっさりと棚から抜き出した。
「これか・・」
仲地は、それを手にとって、私の頭の上で開く。
「あ、あのすみません。
私はこれで」
人一人が通れるほどの空間に、仲地が後ろからついてきたため、
彼が通路から出てくれないと、私も外へ出られない。
もしくは、そうとうに体を密着させて、無理やりおし通るか、だが。
当然、そんなもの、選択肢は一つだ。
それなのに。
「別に、急がなくてもいいじゃない?」
仲地の唇が、非対称に、つりあがったように・・、見えた。