存葬乃楼

カラオケ店に着くとバラード好きの唯がポップな曲ばかりを選んで唄っていた。かすかに聞こえた唯の呟き「変わりたい」
唯は一人で頑張ってるんだ。そう解釈をし唯に合わせるように選曲をした。唯が私を誘うときには大抵何かがあるときが多く今日も変わるキッカケでも欲しかったのだろう。

…でもそれだけではなかった。

カラオケ店を出ると自然と私達はファーストフード店に向かっていた。

「唯、今日はいつもと違ったね」

「わかる?」

唯は少し嬉しそうに返事をした。

「だっていつもの曲何も歌ってないじゃん」

「あっ…」

不器用なところは変わってないね。そう言おうとしたけどそれは止めた。折角変わろうとしてるのに揚げ足を取りかねないと思うから。
私は言葉の代わりに唯の頭を撫でた。

「で?唯は何で変わろうとしてるの?好きな人でも出来たの?」

唯は俯き、そのまま応えた。

「そうじゃなくて…ね。流華笑ったり怒ったり…嫌ったりしないでくれる?」

「うん。大丈夫だよ」
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