准教授 高野先生の結婚
大好きな彼から突きつけられた(?)ぎゅっとぎゅっと愛のつまった予告状。
どうしよう、読んじゃった……。
ホントのホントに、受け取っちゃった……。
読み終えた最後の便箋を見つめたまんま立ち尽くす。
滲む泪でゆらゆらぐらぐら視界が歪む。
堪えきれず溢れた泪がほろりほろり一つ二つと零れ落ち、
便箋の白い余白と彼が書いた青いインクのキレイな文字をぽつりぽつり濡らしてく。
彼はいつも私のことを泣かせてばかりだ。
笑いを取るのは下手なのに、こうして泪をさそうのは悔しくなるほど上手いのだもの。
だけど――
彼に泣かされ流す泪はいつもじわりとあたたかい。
それはきっとその主成分が愛と感謝と喜びと幸福だからに違いない。
私はぐすんと一つ洟をすすると、気持ちをきゅっとひきしめて胸を張って顔を上げた。
頬をつたって流れる泪はやっぱり優しくあたたかかった。