准教授 高野先生の結婚

奥様のことを話しているときの並木先生の表情はとてもとても幸福そうで……。

そして――

こんな言い方は目上の方に失礼かもしれないけど、すごく……可愛らしかった。

「僕が結婚に踏み切れたのはね、家内が頑張ってくれたおかげなのよ。

学生……いや、元学生との結婚に及び腰だった僕に勇気を与えてくれたというか、ね。

そんなこともあってねぇ……。

だから柄にも無く僕も頑張っちゃったのよ、結婚式に関しては。

まあねぇ、結婚の覚悟を決めた時点でもうかなり吹っ切れていたこともあるけど。

こうなったらドカーンと派手にやってやろうじゃないか!みたいなね。

もちろん当時は色々言われましたとも。

えぇ、えぇ、それはもう……。

だけどね、やっぱり家内のやりたいようにしてあげられてよかったよ、結果的には。

だって、思い残しを作ってしまうよりずっといいもんね。

まあ、鈴木さんは“気にしい”だから色々考えちゃうのかもわからんけど。

でもさ、あんまり心配しなさんな?

一生に一度のことだもんね、やりたいようにおやりなさいよ。

大丈夫、大丈夫!君の彼氏はなかなか強かな男だからね。

外野にごちゃごちゃ何言われても、彼はなんてことないんだから」


< 131 / 339 >

この作品をシェア

pagetop