准教授 高野先生の結婚
7.僕の苗字になる君へ
昨年同様、今年も12月23日が彼と私のクリスマス。
むしゃむしゃと“トリを貪り喰う日”である。
ちなみに研究室の忘年会は昨年に引き続き今年も12月24日という……。
二年連チャンでつづいたこの悪しき設定が毎年恒例の伝統にならなきゃよいけれど。
さて。
昨年は何の飾り気も無くクリスマス色ゼロだった部屋も今年は――
玄関には近所のお花屋さんで見つけた可愛いリースが飾られている。
ツリーは“いかにも”というそれではなく、本棚に置ける程度の小さな物を用意した。
金色のもみの木で、てっぺんにはガラスの星が光っている。
ところごころにガラスのオーナメントがついていてキラキラしていてとてもきれい。
トリを貪り喰った私と寛行さん。
ケーキはやっぱりお腹に入る余裕がなく……。
「詩織ちゃん、朝ご飯はケーキでいい?」
「うん。去年もそうだったよね……」
まったく、ちっとも学習していないというか、なんというか。
クリスマスケーキは出すだけ出され、寛行さんに記念写真を一枚撮られ――
そして、再び静かに冷蔵庫へと戻されたのであった。