准教授 高野先生の結婚
クリスマスプレゼントといえばサンタ!ではなく……有能で働き者のトナカイ!
昨年は寛行さん経由でプレゼントのリクエストをした私だけど、さて今年は――
「私も会いたかったのになぁ、トナカイ」
「彼はあれでいて、けっこう人に気を遣ってしまう奴なのさ」
「別に声かけてくれてよかったのに」
トナカイは今年もまた私のところへ直接来てはくれなかった。
例によって例のごとくトナカイからの伝言を預かった寛行さんの話しによると――
なんでも、私があまりに勉強に集中していたから声がかけられなかったのだ、と。
まあ、なんというか……。
そういった諸々の事情?について寛行さんからメールが届いたのは12月初旬のこと。
出入り禁止中だった私は同じくメールでプレゼントの希望を返信したのだった。
クローゼットから何やら取り出そうとしている彼の背中に問いかける。
「じゃあ次のクリスマスは私のところへ来てくれるかなぁ?」
って――
そっか……来年のクリスマスはもう――
“私のところ”も何も、私は寛行さんと一緒に暮らしているのだから。
「来年はもう来ないよ。残念ながら」
「え?」
紙袋を持った彼が振り返り、何食わぬ顔で私に告げる。
「配偶者がいる人のところへは来ないルールなんだ」
「ふーん」
そんなルール、もちろん聞いたことがない。
もっとも、トナカイが御用聞きにまわること自体アレなんだけど……。