准教授 高野先生の結婚
しばしご相談の結果――
早速今夜、作戦決行?することに。
忘年会のどさくさに紛れて?婚約発表しちゃいましょう!という……。
「で、それぞれの係については――」
それぞれの役割分担?について、はりきって発表をする真中君。
「まずボクが一次会の初っ端に皆に発表する係ね。
桜庭サンは女子の先輩方のお話し相手。ヘンな噂立てさせないように宥めて下さい」
「あの……私は???」
「あぁ、シオリンはモジモジする係ね」
「はい?」
モ、モジモジって……???
「いちいち照れたり恥ずかしがったりしてモジモジ困っていればいいから」
「えーと、それって……???」
いまいちピンとこない私に向かって、桜庭さんが補足する。
「幸せをひけらかしたりせず慎ましく振舞うこと。そうだよね?真中クン」
「そういうこと。ま、シオリンは得意気に自慢こいたりしないだろうけど。
モジモジのほかにタジタジでもいいよ。あとはアワアワとかアセアセとか」
どうやらつまり……私は余計はことはせず何もしない係?みたいな。
「なるほど……なんか、よくわかんないけど……でもわかったよ、うん!」
私はとりあえず力強く頷いた。
先生方は学生三人のやりとりを微笑ましそう眺めていたけど――
「じゃあ、僕はキューピッドの係ね」
並木先生???
「いいよね?高野君」
「もちろんです」
寛行さん???
私を置いてきぼりにして、ニコニコと笑い合う並木先生と寛行さん。
「二人を引き合わせたのは僕だもんねー。自慢しちゃおーっと。ふふーん」
「どうぞどうぞ。たくさん自慢しちゃってください」
「では遠慮なく存分に」
「はい。もう心行くまで」
バカ丁寧に頭を下げる寛行さんと、にんまり笑う並木先生。
その奇妙な光景に私は苦笑したけれど――
真中君と桜庭さんは、まるで何か安堵したように穏やかな微笑を浮かべていた。