准教授 高野先生の結婚

お食事会は、いかにもな懐石料理でもなくフレンチのコースでもなく……中華だった。

ちなみに、そのお店を提案して勧めてくれたのは寛行さんのお母さんだったりする。

結納がわりの食事会としては中華ってちょっと意外だったけれど、でも……。

もともと格式ばった結納は省略して気楽にやりましょう!と両家で了承済みだったし。


だから、お店が決まったとき――

私としては正座しなくて済んでラッキー?なーんて。

そーゆーことで“ヨシッ!”と密かにガッツポーズしたりして。

当然、服装だってキレイめのワンピースでOKだと思っていた。

母親同士は“洋装で”ということで話がまとまっていたし。


ところが……。


私の思惑とは裏腹に、お母さんにはお母さんなりのプランがあったらしく……。

「さあさあ!早速しーちゃんの振袖出さなきゃ!あーん、忙しっ!うっふふー」

「ちょっ……お母さん!?振袖って???」

「あっ!お姉ちゃんに電話しないと。着付け着付け~、お姉ちゃんに頼んじゃお~」

「お母さん!ねぇ、ちょっと待って!」

「待たな~い、待てな~い、網走市内~」

な、なぬぅーっ!

っていうか、なぜ網走……?
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