准教授 高野先生の結婚
高まるくんくん欲を理性とシートベルトで抑える私……ちょっと鼻息荒いかも?
寛行さんは私のもんもん具合を知ってか知らずか、またまた見事に言ってくれた。
「君の振袖姿、僕は好きだよ。でも、あんなに似合っていても――」
「?」
「もう着られなくなってしまうんだね」
「それはまあ……」
「僕のせいで」
「えっ」
さらさら~っと言ったようでいて彼が少し照れているのがわかった。
「着納めなのかな、見納めなのかなって。あの日、僕はそう思って――」
「そう、思って……???」
「すごく感慨深いものがあったよ」
「感慨?」
「そっ。君が僕の奥さんになるんだなぁってさ。そんなこと、ちょっと考えてた」
「寛行さん……」
「本当に思いがけず見られてよかったよ。君の、おそらく最後の振袖姿」
「そんなふうに言ってもらえて、すごく嬉しいな……」
「まあ話を聞いた感じでは?僕の為に着て来てくれたわけではなさそうだけど?」
「うぅ、いぢわる……」
「ちょっと拗ねてみました、なんてね」