准教授 高野先生の結婚

カスガイはメニューを閉じて顔を上げると少し呆れたように笑って私を見た。

「相変わらずスズキはいちいち考えすぎ」

「でも……」

「コータローがそーゆーこと気にするように見えるかえ?」

「そ、それは……」

まあ、あらためてそう聞かれると……。

「どうよ?はっきり言いなね」

「……見えない、かも」

「そゆこと」

カスガイの旦那様、竹井浩太郎氏はとても個性的な人物だ。

まずは見た目。

「ねぇ、コータローって今でも“ああいう格好”しているの?その……出勤とかも」

「そだよ。社宅からラボがある事業所まであのカッコで歩ってるよ」

「そうなんだ……」

私はカスガイにコータローを紹介されたときに知ったのだ。

“サイケデリック”とはどんなもんかということを……。

あのキョーレツな原色たち。

カラフルとはまた違う、色!色!色!の壮絶な大混雑、大洪水。

さらに、機械の余ったパーツで作ったという御自慢の奇妙なアクセサリ。

一般的な感覚からすると明らかにアヤシイいでたちのコータロー。
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