准教授 高野先生の結婚

素材も形も刻印も全部二人の希望どおり。


「ハイ!それでは出来上がりは二週間後ということになりますね!」


うんん、納期も価格もみんな合わせて希望以上!大大大満足のお買いもの!

彼も私も、すっかりほくほくの上機嫌。

そして――


「ハイ!ところで、これは余談なのでございますが――」


そんな二人をさらにほくほくにさせたのが加藤さんだった。


「ハイ!石はそれぞれ不思議な力を持っていると言われておりまして。

それを持つ人に力をくれたり、お守りになってくれたりするそうなのでございます」


「ほほう」

「あ、聞いたことあるかも!えと、それってパワーストーンとかのお話ですよね?」

「ハイ!さようでございます」


そういえば、恋愛成就の為にってブレスレットをしてた友達がいたっけ。

何の石のやつだったかは覚えてないけど、ぜんぜん……。

そんな私はというと――

もともと、アクセサリに凝るほうでもなく。

占いに夢中になるタイプでもなく。

だから“パワーストーン”って言葉も聞いたことあるだけで何も知らなくて……。


「じゃあ……えと、私たちの誕生石にも何かパワーがあったりするんですか???」

「ハイ!もちろんでございます」


加藤さんは私の問いにニッコリ笑って嬉しそうに頷いた。

そうして――


「ハイ!ただ、当店で御利益を保証できるものではございませんので。

あくまでも“言い伝え”として、どうぞ“お話半分”ということで」


ちょっとお茶目な前置きをしつつ――


「ハイ!さて、お二人の誕生石は――」


加藤さんは、私たち二人をさらに幸福な気持ちにさせる話を語り始めた。
< 219 / 339 >

この作品をシェア

pagetop