准教授 高野先生の結婚
素材も形も刻印も全部二人の希望どおり。
「ハイ!それでは出来上がりは二週間後ということになりますね!」
うんん、納期も価格もみんな合わせて希望以上!大大大満足のお買いもの!
彼も私も、すっかりほくほくの上機嫌。
そして――
「ハイ!ところで、これは余談なのでございますが――」
そんな二人をさらにほくほくにさせたのが加藤さんだった。
「ハイ!石はそれぞれ不思議な力を持っていると言われておりまして。
それを持つ人に力をくれたり、お守りになってくれたりするそうなのでございます」
「ほほう」
「あ、聞いたことあるかも!えと、それってパワーストーンとかのお話ですよね?」
「ハイ!さようでございます」
そういえば、恋愛成就の為にってブレスレットをしてた友達がいたっけ。
何の石のやつだったかは覚えてないけど、ぜんぜん……。
そんな私はというと――
もともと、アクセサリに凝るほうでもなく。
占いに夢中になるタイプでもなく。
だから“パワーストーン”って言葉も聞いたことあるだけで何も知らなくて……。
「じゃあ……えと、私たちの誕生石にも何かパワーがあったりするんですか???」
「ハイ!もちろんでございます」
加藤さんは私の問いにニッコリ笑って嬉しそうに頷いた。
そうして――
「ハイ!ただ、当店で御利益を保証できるものではございませんので。
あくまでも“言い伝え”として、どうぞ“お話半分”ということで」
ちょっとお茶目な前置きをしつつ――
「ハイ!さて、お二人の誕生石は――」
加藤さんは、私たち二人をさらに幸福な気持ちにさせる話を語り始めた。