准教授 高野先生の結婚
早速というか、引っ越しの合間に時間を見つけて区役所に行った私たち。
“世帯主”と“同居人”。
これが今現在の彼と私の“続柄”である。
「だって、住民票はそうなってるもーん」
「やっぱり“妻(未届)”のほうがよかったかい?」
「それは……」
“妻(未届)”は、戸籍上は妻じゃないけど事実上は妻……つまり、事実婚の妻。
来月には入籍をして彼の“妻”になる私。
婚約者と同居する私には“妻(未届)”になる資格があった。
まあ、結局そうはしなかったのだけど。
「僕はよかったんだよ?君がいち早く妻になってくれてもさ。夫婦別姓でも何でも」
「けど……ほら、私は健康保険とか年金とかの事情も特にないし」
「まあねえ、君は春から社会人だしなぁ」
「あ!“家事使用人”って続柄もあったよね?あれってアリだったのかな???」
「“家事使用人”ってそんな……君は何言ってるの」
「“おかえりなさいませ☆ご主人様♪”」
「……」
「むぅぅ。なんかウケ悪いし……」
「だってさ、僕って“あ・な・た♪”とかに該当するんじゃないの?」
「……ぜ、絶対言わない!」
「えーっ!じゃ、あれは?“お風呂?ご飯?それとも、わ・た・し?♪”とか」
「とっととお風呂作ってきて下さい」
「えーっ、そんなぁ……」
「なに全力でがっかりしてんですか……」
まったくもう……。
寛行さんってときどき真剣にこういうこと言うから困ったもんだ。
だってだって、そんな彼が可愛すぎて、私のほうが照れちゃうし……。