准教授 高野先生の結婚

早速というか、引っ越しの合間に時間を見つけて区役所に行った私たち。


“世帯主”と“同居人”。


これが今現在の彼と私の“続柄”である。


「だって、住民票はそうなってるもーん」

「やっぱり“妻(未届)”のほうがよかったかい?」

「それは……」


“妻(未届)”は、戸籍上は妻じゃないけど事実上は妻……つまり、事実婚の妻。

来月には入籍をして彼の“妻”になる私。

婚約者と同居する私には“妻(未届)”になる資格があった。

まあ、結局そうはしなかったのだけど。


「僕はよかったんだよ?君がいち早く妻になってくれてもさ。夫婦別姓でも何でも」

「けど……ほら、私は健康保険とか年金とかの事情も特にないし」

「まあねえ、君は春から社会人だしなぁ」

「あ!“家事使用人”って続柄もあったよね?あれってアリだったのかな???」

「“家事使用人”ってそんな……君は何言ってるの」

「“おかえりなさいませ☆ご主人様♪”」

「……」

「むぅぅ。なんかウケ悪いし……」

「だってさ、僕って“あ・な・た♪”とかに該当するんじゃないの?」

「……ぜ、絶対言わない!」

「えーっ!じゃ、あれは?“お風呂?ご飯?それとも、わ・た・し?♪”とか」

「とっととお風呂作ってきて下さい」

「えーっ、そんなぁ……」

「なに全力でがっかりしてんですか……」


まったくもう……。

寛行さんってときどき真剣にこういうこと言うから困ったもんだ。

だってだって、そんな彼が可愛すぎて、私のほうが照れちゃうし……。


< 228 / 339 >

この作品をシェア

pagetop