准教授 高野先生の結婚

いつものように一緒にお風呂。

いつものように一緒に歯磨き。

だけど、“いつものように”いかないことがひとつ。


「ベッド、いなくなっちゃったね……」

「部屋が広くなったというか、なんだか妙にがらんとしてしまったというか……ね」


寝室にあったセミダブルのベッドは、今日の引っ越しで旅立っていった。

ちなみに、私が使っていたシングルベッドも一緒に。

ベッドをどうするかは、ちょっと悩みどころだったのだけど。

結局、新しくダブルベッドを購入することにした。


「明日の2時までには来るんだよね?新しいベッド」

「午前中のうちに配送時間の確認の電話がくることになってる、一応」


そんなわけで――


「さて。それでは布団を敷くとするかな」

「やるやる!私がやる!寛行さんはお仕事あるんでしょ?」

「少しだけ。すまないね」

「ぜんぜん。ピシッと敷くよ!ピシッと」

「そう?じゃあ……お願いできるかな」

「うん!うぉー!お布団なんて久々だよ、私。いつ以来かなあ???」

「僕も。って……あぁ、正月帰省したときに布団で寝たか、そういえば」

「“同居初日は、布団 de ナイト!”」

「僕の愛する同居人よ……流石にそのネーミングセンスはいかがなものかと……」

「“布団 de ナイトふぃーばぁー!”」

「“僕は仕事しナイト”だね……」

「いえーい!頑張ってくださいませ、愛する世帯主さま♪」

「はいはい」


今夜は一夜限りのお楽しみ!?なーんて。

まぁ、ただ単にベッドじゃなくてお布団敷いて寝るってだけなんだけど……。
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