准教授 高野先生の結婚
11.新婦様の一存
明るい冬晴れの空の下、私は母校であるF女学院を目指して歩いていた。
今日はいよいよ結婚式の“お打ち合わせ”。
バッグの中には結婚情報誌の最新号が入っている。
この分厚い雑誌を買うのもこれが最後かな?なんて、そんなことを思ってみたり。
2月の大学は学生の姿も少なくて、ちょっと閑散とした感じ。
私が用事があるのは礼拝堂の隣りにある“記念館”と呼ばれる建物。
記念館には、宗教センターの他に、同窓会事務局と国際交流センターが入っている。
学生のときは用事もなくて来る機会がなかったっけ……。
だから入るのは今日が初めて。
ここの一室が本日の打ち合わせ場所。
寛行さんとは直接ここで落ち合うことになっているけど……もう来てるかな???
まずは2Fの宗教センターへ。
「あの、すみません。10時半にアドバイザーのかたとお約束を……」
いかにもOGって感じの窓口の女性に用件を伝えると――
「んまっ!あら!!あなたが!!!」
「は、はい?」
うぅ、いきなり無遠慮な好奇の眼差し……。
「先生はもうお見えになってるわよ♪奥にある小会議室ってお部屋ね」
「ど、どうも……」
たぶんこの職員さんだろうなぁ、授かり婚?って聞いてきた人……。