准教授 高野先生の結婚
11.新婦様の一存

明るい冬晴れの空の下、私は母校であるF女学院を目指して歩いていた。

今日はいよいよ結婚式の“お打ち合わせ”。

バッグの中には結婚情報誌の最新号が入っている。

この分厚い雑誌を買うのもこれが最後かな?なんて、そんなことを思ってみたり。


2月の大学は学生の姿も少なくて、ちょっと閑散とした感じ。

私が用事があるのは礼拝堂の隣りにある“記念館”と呼ばれる建物。

記念館には、宗教センターの他に、同窓会事務局と国際交流センターが入っている。

学生のときは用事もなくて来る機会がなかったっけ……。

だから入るのは今日が初めて。

ここの一室が本日の打ち合わせ場所。

寛行さんとは直接ここで落ち合うことになっているけど……もう来てるかな???


まずは2Fの宗教センターへ。


「あの、すみません。10時半にアドバイザーのかたとお約束を……」


いかにもOGって感じの窓口の女性に用件を伝えると――


「んまっ!あら!!あなたが!!!」

「は、はい?」


うぅ、いきなり無遠慮な好奇の眼差し……。


「先生はもうお見えになってるわよ♪奥にある小会議室ってお部屋ね」

「ど、どうも……」


たぶんこの職員さんだろうなぁ、授かり婚?って聞いてきた人……。
< 236 / 339 >

この作品をシェア

pagetop