准教授 高野先生の結婚

こうして、本日3月16日は寛行さんと私の入籍記念日とめでたく相成った。

ちなみに――

森岡家の記念日事情は相変わらずどころか、さらにグレードアップ?しているらしい。


「今はさ、記念日を量産しているのは専ら森岡のほうなんだけどね」

「森岡先生が?」

「そっ。あいつにとっては千尋ちゃんの成長の一つひとつが大事な記念だから」

「なるほどー」


娘さんにメロメロの森岡先生。

その溺愛ぶりと幸せそうに頬をゆるめる先生の笑顔、それを優しく見つめる美穂さん。

私は微笑ましい幸福そうな家族の様子を思い浮かべた。



今夜もやっぱり先に眠りに落ちたのは彼のほうだった。

いつものように、腕枕をそーっと外して元に戻して、と……。

そうしてから、私は再び彼の隣りに横になって、お布団の中でゆるく手をつないだ。

目を閉じて、なんとなく考える。

寛行さんも森岡先生みたいにメロメロメロリンになるのかなぁ。

っていうか、私がママになるとかって想像できないよなぁ……。

でも、秋ちゃんは同い年でママやってるもんなぁ。

そもそも、寛行さん的にはその辺のことをどう考えているんだろ???


そんなことを、あれこれぽつぽつ考えているうちに――

幸せな気だるさにもったり包まれて――


入籍して妻となった記念すべき夜。

今夜も、安眠快眠。





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