准教授 高野先生の結婚
事務的なという言い方もあれだけど、私は結婚に関するそういうことに彼より疎い。
周りに既婚者の友人がいないわけではない。
けど、こう言ってはなんだけど――
秋ちゃんにしてもカスガイにしても一般例として参考にはしづらいケースだし……。
なので、私が世間知らずなお子様なぶん、彼が大人でありがたかった。
具体的なことをきちんと考えて進めてくれる彼がとても頼もしく安心できた。
「姓はどうする?」
「へ?」
一瞬、質問の意味がわからなかった。
そして――
きょとんとして、はてな顔をする私に彼が再度投げかけたその問いは――
まるで――
「“高野詩織”になる?」
本日二度目の、プロポーズのようだった。
私はなんだかこの台詞にものすごい衝撃を受けてしまい、思わず黙って――
「ん」
ただただもう、かなりスローな赤べこみたいに???大きく大きく頷いて、
口の中でモグモグしていたから揚げを、味わうことなく飲み込んだ。