准教授 高野先生の結婚
その夜、私たちはおとなしく?ただ寄り添って眠りについた。
“安全第一のお約束”
お付き合いを始めてからずっと、彼はその約束を真面目に守ってくれている。
本当に真面目すぎるほど真面目に、ずっと。
“真剣に結婚を考えてるなら、別にそんな約束は少しくらいゆるめたって……”
或いは人によってはそんな考え方もあるのかも。
だけど、私たちは違っていた。
結婚を真剣に考えているからこそ慎重で、“お約束”を守ることに厳格なのだ。
そりゃあまあ、一番安全なのは“何もしないこと”に違いないけど。
だけど、いくらなんでもそれはちょっと過酷すぎるので……。
だからこそ、彼はせめて出来る限り安全に慎重に、私を思いやってくれている。
結婚したら――
私たちのルールもやっぱり改定されたりするのだろうか?
夜中、なぜだか急にすっきりぱっちり目が覚めた。
夢にうなされたわけでも、寒かったり暑かったりしたわけでもないのに。
ふと横を見ると隣はからっぽで彼の姿が見当たらない。
私はなんとなく気になって、ベッドをもそっと抜け出した。