准教授 高野先生の結婚

私は若干心労を感じつつ気を取り直して、お母さんに話のつづきを促した。

「で?その“果たし状”が届いたよって連絡をわざわざくれたの?」

用件がそれだけでないことくらい、うすうす察しはついていたけど。

『それがね、寛行さんに伝言があってね。それで、しーちゃんに電話したのよぉ』

「寛行さんに?お母さんから?」

『うんん。務さんから』

「ふーん」

お父さんから寛行さんに伝言って???

まさか“この果し合い(?)受けてたつ!”なんて、ものものしい話じゃ……!?

「で、お父さんからの伝言って?」

『あっ、そうだ!せっかくだから私から寛行さんに直接伝えることにしよっと♪』

「は?」

『だから代わって』

「え゛っ」

『だってー、どうせ一緒にいるんでしょ』

「……」

この母に敵うはずも無く……私はおとなしくケータイを彼に譲ることにした。

「あのね、お母さんが寛行さんとお話ししたいんだって」

「お母さんが?」

「そっ。お母さんが」

お母さんてば、自分が寛行さんとお喋りしたいだけに決まってる。

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