准教授 高野先生の結婚
4.高野家の人々
11月28日 土曜日。
私は寛行さんの車にのっけられて彼の実家へと向かっていた。
お母さんがプレゼントしてくれた鎧ならぬワンピースでの完全武装?の出陣?である。
そして、武器ならぬ手土産には季節の果物のロールケーキを持参した。
けど……よく考えてみると、練り切りなんかの綺麗な和菓子のほうがよかったかも?
やや不安げに運転中の彼につとたずねる。
「やっぱり和菓子のほうがよかった?」
「うんん、洋菓子でよかったよ。アノ店のロールケーキでしょ?」
「うん」
アノ店とは、前に彼が私の実家への手土産を買いに行ってくれた美味しいお店。
「僕、御遣い物ばかりで自分のウチには買っていったことがないし。それに――」
「?」
「たぶん、子どももいるだろうから」
「子ども???」
「うん。甥と姪が来てると思う」
甥っ子くんと、姪っ子ちゃん……二卵性の双子さんで小学校の2年か3年だったはず。
寛行さんのお兄さんのお子さんで……あれ?でも確かお兄さん一家は東京に……?