准教授 高野先生の結婚

君と出会ってからの僕はそれまでの僕よりずっとはるかに自分の人生を生きている。

一人のときより二人でいられる今のほうが、もっともっと自分の為に生きている。

何処か空虚で淋しかった僕の人生を君が色鮮やかに変えてくれたから。

君と一緒でなければ、僕はトナカイにもカモシカにも出会うことはなかったでしょう。

僕の生活を楽しく心豊かなものにしてくれるのは君の言葉です。

僕の日常を安らぎのある心地よいものにしてくれるのは君の想いです。

僕らがお互いの気持ちを伝えあったあの秋の日からおよそ一年。

11月は君も知っているとおり僕の誕生月です。

そこで1つ、誕生日のわがままと思って僕の願いを聞いてはもらえませんか?

11月15日の日曜日、僕と一緒にあの思い出の海へ出かけて欲しいのです。

二人の思い出の季節に、思い出の場所で、僕は君にプロポーズしたいと思います。

僕が持てる限りの精一杯の勇気と誠意をもって君への想いを伝えられたら、と。

< 8 / 339 >

この作品をシェア

pagetop