またね
それから力也はひとみの肩に手を回したままで惚気話しを本当に嬉しそうにした。
ひとみはただ横に座り、ニコニコと笑っていた…


「力也!お前馬鹿ズラと!鼻のした伸びと!」


「男前なんだから鼻のした伸びてるくらいが丁度いい!幸せで悪いか!」


2人はとても幸せそうで…
とてもとても幸せそうに見えた…

本当に幸せな恋人に見えた…

でも私は複雑な気持ちだった…

力也はひとみに彼氏がいることを知っているのだろうか?

そして、この幸せな時間はそんなに長くは続かないことを知っているのだろうか…?

3ヶ月後には何もかも無くなってしまって…
ひとみの隣にいるのは自分ではないことを…

力也は分かっているの?

私は二人を交互に見つめた。


視線を感じて隣の翔太郎を見ると
翔太郎は私を見ていた…
暫く見つめ合った。
でも私は、翔太郎のその眼差しに吸い込まれてしまそうで…
このまま翔太郎に溺れてしまいそうで…
怖くなって、目を伏せた…

その時…
翔太郎の携帯が鳴りだした。
翔太郎は手早く着信を確認したと思うと


「ごめん ちょっと電話!」


それだけ言って席を立ち店の外へ出て行ってしまった。


その電話の相手が誰なのか…
残された私たちには分かっていた…

みゆき

翔太郎の彼女からの電話だということを…



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