またね
「―なぁ…」


そう言われて私は顔をあげた…


顔を上げると同時に唇に温かい感触



それは軽く触れただけの優しいキスだった…



一瞬何が起こったのか分からなかった…

  
ただ翔太郎の横に置いてある、赤いリボンのついた彼女への誕生日プレゼントが街頭の光でキラキラと輝いて見えて…

パッと身体を離した…


「…ごめん」


「……何謝てんの! 謝るくらいなら… 」

それ以上何も言えなかった…

拳を硬く握って瞳に溜まった涙を流さないようにした…

悲しかった…

ただ悲しかった…

謝る翔太郎の言葉が無性に悲しかった…


ひとみは言う…
楽しまなくっちゃ!

こんなの何が楽しいと言うのだろう?

ただ苦しいだけ…

一馬を裏切ってる…

胸が痛かった…


そして2人に吹き付ける風邪が冷たかった…



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