またね
力也もタバコに火を点けて深く煙を吸った。



「そろそろ行くかぁ―!遅れたらうるさいし!」


「うん」 


―ガラガラ


力也が手をかけた扉が外側から開いた


「びっくりしたぁ!!」


「おぅ 力也!1人?」


声の相手からは力也の身体で隠れて私の姿は見えないようだった… 


でも私はその声の主が誰なのかすぐに分かった。


「いや…」

「…ん?」


声の主は顔を傾けて中を覗きこんだ。


「前っち…」


「……」


私は何を言ったらいいのか分からずに下を向いて俯いた…


「じゃ!俺行くわ!!後よろしく!」


「ま…待って…」


私の言葉を待たずに扉はピシャリと音をたてて閉まってしまった。

2人きりの空間…

話す言葉が見つからなくて2人は黙り込んだままだった。



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