ちっぽけな空
「ただいまー」
ガラガラとガラスの引き戸を開けて、母は祖父の家に入る。
ふわりと、線香の香りが鼻先をくすぐった。
廊下の奥のほうから、聞き慣れたどすどすと歩く音が聞こえてくる。
「よくきたなー。
アサコちゃん暑かっただろ。
よーく冷えたスイカがあるから、ほら上がって、上がって」
団扇をぱたぱたと扇ぎながら、祖父は、にかっと笑った。
タバコのヤニで黄色く薄汚れている歯が見え、金歯がきらりと光る。
私たちはよく冷えたスイカをほおばり、スイカの種飛ばし大会をした。
夜は花火を見ながら、とうもろこしを食べた。
その後祖父と母と私の三人で蛍を見に出かけることになった。
せっかくだからと、浴衣を着て見に行くことになった。
急だったから私は母が昔着ていた浴衣を着、母は祖母の形見の浴衣を着た。
祖父は、もともと甚平を着ていたので「このままで行く」と言っていた。
ゆらゆらと瞬く、幻想的な光。
蛍はふわりと飛んで、私は思わず息をのんだ。
「こんなに蛍が見れるのは、この辺でもそうそうないよ。
いいときに来たね。アサコちゃん」
祖父はタバコをふかして、遠いところを見ながらそう言う。
本当にそのときの蛍はとてもすばらしくて、私は思わずなみだが出そうになった。
ガラガラとガラスの引き戸を開けて、母は祖父の家に入る。
ふわりと、線香の香りが鼻先をくすぐった。
廊下の奥のほうから、聞き慣れたどすどすと歩く音が聞こえてくる。
「よくきたなー。
アサコちゃん暑かっただろ。
よーく冷えたスイカがあるから、ほら上がって、上がって」
団扇をぱたぱたと扇ぎながら、祖父は、にかっと笑った。
タバコのヤニで黄色く薄汚れている歯が見え、金歯がきらりと光る。
私たちはよく冷えたスイカをほおばり、スイカの種飛ばし大会をした。
夜は花火を見ながら、とうもろこしを食べた。
その後祖父と母と私の三人で蛍を見に出かけることになった。
せっかくだからと、浴衣を着て見に行くことになった。
急だったから私は母が昔着ていた浴衣を着、母は祖母の形見の浴衣を着た。
祖父は、もともと甚平を着ていたので「このままで行く」と言っていた。
ゆらゆらと瞬く、幻想的な光。
蛍はふわりと飛んで、私は思わず息をのんだ。
「こんなに蛍が見れるのは、この辺でもそうそうないよ。
いいときに来たね。アサコちゃん」
祖父はタバコをふかして、遠いところを見ながらそう言う。
本当にそのときの蛍はとてもすばらしくて、私は思わずなみだが出そうになった。