サミシイカラ…ウソツキ


一瞬…ドキッとした…



成瀬さんからふわりといい香りがして…やだ、あたし今顔赤いかも…




「ほら、お返し。あ〜ん。」



成瀬さんが苺をあたしの口元へ。



ウブな子供じゃないんだから、ここで断るのも何か変よね…

意を決してあたしもパクリと苺を食べた。



「美味しい?」


いたずらっ子のような顔であたしを覗き込む。



「美味し…」


良く冷えた苺は瑞々しくてとても甘かった。



酔った勢いも手伝って、あたし逹はふざけながら苺とチョコレートを食べさせ合った。

初めて会った人なのに、年甲斐も無くはしゃいでしまった…何だか久しぶりだな…こんな雰囲気。学生の頃に戻ったみたいで楽しかった。


「ねぇ、この後少し時間あるかな?ちょっと詳しく聞きたいこともあるし。ここじゃちょっと賑やかすぎて話しづらいからさ。」



会計を済ませ、成瀬さんは仕事モードの真面目な顔であたしに聞いてきた。


確かに仕事の話をするにはこの店内はいつの間にか混雑し、相当賑やかになっていた。気が付くと成瀬さんはあたしの会計まで知らぬ間に払っていた。


おごってもらった上にワインや料理、カクテルまでご馳走になっていたあたしは、さすがに断れなかった。



「じゃあ…少しだけなら…」


「よっしゃ。とっておきの場所へ案内するよ。」






< 20 / 107 >

この作品をシェア

pagetop