サミシイカラ…ウソツキ
「…こんばんは。先日はご馳走様でした。お取引の件も順調みたいでして…本当にありがとうございました。」
あたしは至って冷静を取り繕い、笑顔で成瀬さんにペコリと挨拶をした。
「……………。」
成瀬さんはあたしをじっと見つめ、黙ったままだ。
「あ、あの…」
何も話そうとしない成瀬さんは、あたしを食い入る様に見つめたまましばらく動かない。
成瀬さんのあたしを見つめる熱い視線に、あたしの頭の中の信号が警告音を鳴らした。
「あの…ご用件が無いならあたしは帰りま…す。」
慌ててまたペコリと頭を下げて、成瀬さんに背を向けて歩き出した。
…引き返さなきゃ。
まだ間に合う。
しっかりしろ、あたし!
でも…なんで?
こんなにも胸が熱くて苦しいなんて…
あたしの視界が涙で霞む。
あたしの愚かさを嘲笑うように、公園の木々が大きくざわめく。