サミシイカラ…ウソツキ



「ずっと連絡したかった。けどしばらく海外に出張ばかりで。ゆう、会いたかった…忘れたことなんて一日も無かったんだ。でもゆうは俺の事を忘れちゃったんじゃないかってずっと不安だった。」



ずるい。



ずるいよ成瀬さん。



あたしが必死に忘れようとしているのに…



あなたのその一言が…




閉め直そうとしていた心の鍵を、とろりと熱い飴細工のように溶かしていく…


しばらくあたしはそのまま成瀬さんに後ろから抱きしめられていた。



…動けなかった。成瀬さんは愛おしそうに「ゆう…」と囁きながら、あたしの髪に顔を埋める。冷えていた体が熱を帯びてくる…



一歩先にある公園の出口が、現実と夢の境界線の様に見えた。




成瀬さんはあたしの前に立ちはだかり、そっと優しいキスをした。




もう…ダメだ…





あたしは現実から夢の世界へ誘われてしまった…



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