サミシイカラ…ウソツキ
家に帰れば、今まで通りの日常を過ごす。
成瀬さんに会った後は何故か家事や仕事がはかどるのだ。
仕事もいつも以上にテキパキとこなせるし、クレームの電話だって笑顔で対応出来るようになった。いつもは大騒ぎしながらの年末の大掃除も、今年は必要無いくらい家中すっきり片付いてピカピカだし、成瀬さんにあたしの知らない美味しいお店へ食事に連れて行って貰ってるお陰か、普段の料理も手を込められるようになっていた。
「お母さん、このじゃがいものポタージュすっごく美味しい!」
口の回りをベタベタにして、スープカップを舐めるように次男が味わってる。
「まだおかわりあるんだから、お行儀悪いことしないの!ほら、口拭いて。」
「ん〜なんかこの唐揚げ、いつもと違うね。」
味にうるさい長男が、唐揚げを箸でつまんでまじまじと見つめる。
「それはね、刻んだネギとにんにく、ごま油と塩コショウで下味付けてみたの。衣にもたっぷりごまが付いてて香ばしいでしょ?」
「うん、美味い!」
今夜のメニューだって、ポタージュはちゃんとスープから取って作ったし、唐揚げもこないだ成瀬さんに連れて行ってもらったお店で食べたのを、自己流にアレンジしてみた。
子供逹のもりもり美味しそうに食べる姿に罪悪感を感じないと言えば嘘になるが…