愛の小説…!?

onsen!

   


「颯くん。気持ちいい朝だねっ」


「気持ち悪い。…をぇ」

「レディーを目の前にしてそれはヒドいじゃないか!さ、半沢の車を待つとしよう」



少し安くなる宿代の予定で俺らの旅行は8月の後半になっていた。
結局、旅行先は温泉。しかも温泉“街”らしい。


そしてお向かいさんのよしみ(晃曰く)で俺はこの迷惑女に迎えにこられた。
半沢が迎えにくる、と言った時間まで10分も早く…。



「ずっと気になっていたんだけど一つだけ聞いてもいいかい?」

「は…?眠い。それしか言えん」

「夏の朝の7時!清々しいじゃないか」

「…まだ6時35分だ。」

「そんな多少の差どうでもいい。朝は朝だっ」



さらり、と風が俺らの間に通り抜けた気がした。
晃と目が合い、一瞬の気まずい沈黙と同時に見覚えのある車が一つ前の信号に引っ掛かってた。




「君は人を好きになったことがあるかい?」











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