愛の小説…!?
「はやてーんお待たせ♪」
「おはよー!」
「zzzzZZz」
「颯んは助手席ねー!晃はうしろっ!」
「そんなのフェアじゃないぞ!仕方ないが私が助手席にすわる」
「いやだーっそんなのつまんないーっ!運転してあげるんだからもうちょっと配慮してよーっ」
「半沢は今日、颯くんとお風呂に入れるんだぞ!私は……うぅ」
「ふっ。女に生まれたことを後悔しろーっ♪颯んは頂い」
バシッバシッ
とりあえず晃と半沢を叩き俺は眠りについた。
―君は人を好きになったことがあるかい?―
真面目な黒目がちの瞳。
なんなんだ腹立たしい…。なんなんだ…。
気が付くと景色は山に囲まれていた。
「ん……暑っ」
「はいチーズ!」
助手席からフラッシュをたいてケラケラ笑う女。
いつの間にか俺は眠っていたらしく、
いつの間にか運転は優季になっていて、
いつの間にか俺の両脇は半沢と晃だった。
二人とも気持ち良さそうに眠ってる。
「さっきねー、桃買ったんだよ。みんな一個ずつ食べたから颯も食べな!」
「あ、あぁ。」
もらった桃を寝ぼけ眼でかじり、さっき見た夢を朧気に繋ぎあわせる。
変な…夢だった。
幸華に告白をされる夢。
…なぁにを寝ぼけてんだ俺は。
幸華は優季に。優季は幸華に。
端から見れば付き合ってることなんて瞬時に分かる。
なにを今さら。
…あぁ、
こいつのせいか。
じっ、と閉じた晃の眼を見る。なんなんだ。阿呆。