Sommerliches Doreiek〜ひと夏の恋〜
終業式は退屈で、正直校長先生の話の内容とかよく覚えてないけど、たぶん良いこと言ってた気がする。
大掃除で美穂とふざけてたら久々にカンペーの出席簿ビンタをくらった。
通信簿は、まぁ予想した通り。
つまり良くないわけだけど。
意外にも拓哉がクラスで十番以内だったのがムカついた。
「琴音。なんて顔してるの?」
優斗が私の顔を見て笑っていた。
「優斗はどうせ成績良いんでしょ?」
ふてくされた様に言った私をまた笑う。
「ま、拓哉には負けてられないもんね。」
ってことは上位じゃん。
部活あれだけやってるくせにいつ勉強してるんだよ。
「ところで今日、部活の後に少しだけ会えないかな?」
なんだろう普通の顔。
笑顔だけど、落ち着いてるけど、不自然なくらいの普通の顔をしていた。
よくわかんないけど断っちゃいけないような気がした。
「うん良いよ。何時くらいになる?」
「そうだな……今日は元から軽めに練習するつもりだったし。7時に駅でどうだろう?」
「……うん、分かった。練習頑張ってね。」
にこっ。と笑って優斗が教室から出ていった。
「……気のせい、かな?」