Sommerliches Doreiek〜ひと夏の恋〜
カタン。タタン。
ちょっと揺れる車中。
私達は一言喋らなかった。
ううん。
優斗に話し掛けちゃいけない気がしたんだ。
「次の駅で降りるよ。」
「……うん。」
電車が停まって降りたのは、すごく廃れた駅で目の前には墓地があった。
「こっちだよ。」
そう言って優斗が歩きだす。
無人の駅。
私達の街にこんな場所があるなんて初めて知った。
「そこに切符入れて。」
切符回収箱と書かれた白い木の箱が置いてあった。
鍵が錆びてて回収箱は開きっぱなしになっていた。
その箱に切符を入れた。
「坂道だから気を付けてね。」
そう言って優斗が整備しきれていない坂道を上がっていく。
私はそれについていった。
「久しぶり……良斗。」