Sommerliches Doreiek〜ひと夏の恋〜
着いたのは駅から見えた墓地。
「優斗……まさかお兄さんて。」
一番奥のまだ綺麗なお墓。
そこに白鳥良斗と刻まれていた。
「うん。あのキャンプから一年半した時に急性の腎臓病にかかってね。」
優斗はポケットから線香とライターを取り出して六本に火を点けた。
温かくて悲しい匂いが辺りに漂う。
「線香あげてくれないかい?」
優しく笑う優斗。
「うん、もちろん。」
私は涙を堪えてた。
でも堪えることはできなくて、お線香を置いたとたんに涙が溢れだした。
「せっかくの再会がこんな形なんて……悲しすぎるよ。」
声を出して泣く私を優斗は優しく抱き締めてくれた。
優斗の手が震えているのを感じた。
もうきっと随分長い間、会いに来てなかったんだろうと、なんとなく分かった。