Sommerliches Doreiek〜ひと夏の恋〜
そのまま頬に手を当てたまま私は顔を近付ける。
「……琴音?」
初めて自分からキスをした。
凄くドキドキして、ほんのちょっと怖くて、切なくて。
「元気づけようと思ったんだけど、良斗の前でこんなのダメか……」
真面目に言ったのに大声で笑われた。
笑い終わった優斗が私をまた優しく抱き締めた。
「琴音、大好きだよ。」
二度目のキスは凄く長かったけど、少しも嫌な気持ちがしなかった。
唇を離した優斗が私の瞳をじっと見つめていた。
「琴音、実は僕……」
あれ――?
またあの表情だ。
優斗あんたいったい何を考えているの?
「うん、何?」
一瞬だけ凄く哀しげな顔をして、笑顔を作る優斗。
ねぇ、気付いてる?
今の優斗は作り笑顔も出来ていないよ。
そんな悲しい顔しないで。
「あ、いや。何でもない。そんなことよりさ僕と付き合ってくれないかな?」
「そんなことよりって!!」
告白は良い感じのムードの時にドキドキしながらされたかったのに。
ここ墓地だよ。
これは違うドキドキだよきっと。