Sommerliches Doreiek〜ひと夏の恋〜
大会も1週間を切ると、皆の気合いの入り様が凄い。
うちは別に部活の有名校じゃないのに、ほとんどの部活が朝から練習していた。
「カンペーお早う。何か手伝うことある?」
テニス部の顧問であるカンペーと校門ですれ違った。
「お?マネージャーが現れたか。助かるよ。」
「で、何したらいい?」
皆の為に私も何か役に立ちたい。
ありきたりだけど、本音だった。
「ほんじゃ部員のタオル預かって、この氷水入りのバケツで冷やしてやってくれ。」
「了解しました。」
びしっ。と敬礼してみた。
右手で敬礼したら敬礼は左手だ、と興味もないツッコミをされた。
「じゃあオレはドリンク用意してくるから、集まったらどんどん白鳥の指示に従って始めとけ。って言っておいて。」
「はーい。」
私は水色のバケツを運び、テニスコートに入る。
「みんな、おはよー。」
私の声にウォーミングアップをしていた数人が振り返った。
「や、琴音。おはよ。」
「はよっす。」
「おはよー。」
皆の所に行きタオルを預かる。
無地の青い優斗のタオル。
真っ白い拓哉のタオルに、プーマのタオルは茂森くんの。
全員からタオルを受け取り氷水に入れる。
「あ、皆が揃ったら優斗の指示に従って始めとけってカンペーが。」
「うん、わかった。ありがと。」
優斗はそう言うと、大きく息を吸った。
「集合ーー!!」
「おぉぉぉっ!!」
優斗の大きな集合の掛け声で、きびきびと集まる。