Sommerliches Doreiek〜ひと夏の恋〜
前だって頑張っていたのを知ってるけど、こういう当たり前な部分がしっかりとできる様になっていた。
そりゃ強くもなるよ。
「各自ストレッチとアップを済ませたらクロスラリーを始めてくれ。」
誰もが真剣な表情。
関係ないのに私まで緊張してしまいそうになる。
「たかが四日間しかないと手を抜いたヤツはあっという間に置いていかれる。確かに四日間で出来ることは限られてるけど、一秒でも濃密な練習になるよう心掛けてくれ。」
「ぅおっす!!」
うわー。格好良いなぁ。
これが真剣に物事に取り組むことなんだと改めて思った。
さっきまでウォーミングアップをしていた人達がそれぞれコートに入って練習を始めた。
後から来た人達も一切手を抜くことなく入念なストレッチとウォーミングアップに努める。
「いくぞぉぉっ!!」
「おぉっ!!」
パァァァン。スパァァアン。と軟式どくとくの音が鳴り響く。
テレビで見る硬式とはまた違う迫力。
「……あっ。」
私は自然と優斗を目で追ってしまったことに気づいて勝手に赤面した。
その様子を拓哉が見ていたことも知らずに。