Sommerliches Doreiek〜ひと夏の恋〜
『キーンコーンカーンコーン』
教室まで残り10メートル。
あのチャイムが鳴り終わるまでに着かなければ、私は遅刻という名の敗北をきっすることに!!
(チャイムなった時点ですでに遅刻。)
駆け抜ける私。
風を切り裂くというのを実感したかもしれな……
『スパーン』
強烈な顔面の痛みとともに私は立ち止まる。
「廊下走んな。」
「痛ーい何すんのよカンペー!!乙女の顔を出席簿で叩いて良いと思ってるの!?」
「仕方ないそれなら俺が一生責任を取ってやろうか?」
「いや、それは無理。まじで無理。」
私は切なさに打ち拉がれるカンペーを1人廊下に残して教室へと入っていった。
「あんな全力で否定された。真顔で無理って言われた……あいつの通知表全てマイナス1にしてやる。」
「ざけんなアホ教師!!」
カンペーの負のオーラを嗅ぎつけた私の鋭いつっこみがカンペーを襲う。
それは国語辞典と言う名の凶器。
「痛い!!DVだDV。ママに言い付けてやるんだから!!」
「……D(家庭内)じゃないし、マザコンかよ。ちょ、カンペー冗談抜きでキツいわぁ。」
教室に戻ると、拓也は佐野くんといつも通りに話をしていた。
何かあったのかと心配していたから安心した。
でも、何だろうちょっとだけ……
ほんのちょっとだけ胸がズキズキとしたんだ。