Sommerliches Doreiek〜ひと夏の恋〜
月日は流れて県大会二日前。
私は部活後に優斗のお兄さんに会いに来ていた。
「良斗くん、また来たよ。」
そう言ってお花を一輪備える。
「今日は星が綺麗だね。雲もないし。」
満天の空の下。
私の心は晴れていなかった。
「良斗くん……優斗はどこにもいかないよね?私の前から消えたりしないよね?」
あの日。
拓哉のおかげで私の不安は晴れたはずだった。
部活帰りにアイスを食べに行った時も、二日間しかなかった休みの日に行った買い物の時も優斗は普通で。
でも時折、すごく辛そうな表情をしていて。
どうしても安心することができないでいたんだ。
「…………琴音!?」
「えっ?……優斗。」
その時。
優斗が私の前に現れた。