Sommerliches Doreiek〜ひと夏の恋〜
私は最初その言葉を認識できなかった。
ホテル?テニス用語にそんなのあったかな、なんて真面目に考えたりした。
優斗がそう言ってから五秒後くらいに、ようやく理解して慌てふためく。
「…………。ほ、ほほ、ホテル!?ちょ、え、優斗?何考えて!?」
優斗は無理矢理にキスをする。
いつもより強引で長いキス。
「琴音の全部が欲しい。って思った。だから。」
優斗のセリフに私は自分でも顔が真っ赤になっていくのが分かった。
「でも、私たちまだ中学生だし。そんなの無理だよ。」
優斗はゆっくりと私を抱き締めていて腕を離した。
「そうだよねゴメン。じゃあ帰ろうか。」
優斗はゆっくりと階段を降りていった。
ズキンズキン。
何でだろう。胸が痛む。
何でだろう……
優斗の背中がすごく遠くに感じるの。