Sommerliches Doreiek〜ひと夏の恋〜
消えた星明かり
県大会当日。
部は騒然としていた。
「どういうことだよカンペー!!」
部員がカンペーに詰め寄る。
私はただそれを生気もなく見ていた。
「白鳥のたっての希望だった。あいつは今日、父親の転勤で韓国に発つ。」
カンペーは真剣な表情で、物言わせぬ顔をしていた。
拓哉は無表情でカンペーを見つめていた。
怒りよりも喪失感の方が断然多いのだ。
最愛の恋人を一瞬にしてなくした私と同じで、拓哉もまた最良の親友を一瞬にしてなくしたのだから。
「白鳥からテニス部への伝言を預かっている……」
カンペーはふと私の方を見て、哀しげに笑った。