Sommerliches Doreiek〜ひと夏の恋〜

沈んだ空気。

いつもなら優斗が切り裂いてくれていた。

今はそうできる人がいな――

「なに暗い顔してんだよ、これから試合なんだぞ?」

拓哉?

「黙って行きやがったのは許さねぇけど、あいつのおかげでオレ達がここまでこれたのは事実だ。オレは行くぜ?関東大会でも全国大会でも。」

ありがとう拓哉。

皆の表情が徐々に明るくなる。

雲の切れ間から陽が射すみたいに、晴天よりも温かな光。

そんな感じがしたんだ。

「それによ――」

拓哉が私を見た。

「あそこの半べそかいてるマネージャーと、技術指導も何もしねぇクソ顧問を連れてってやらなきゃなんねぇだろ?」

「クソ顧問て鷲尾……」

ありがとう拓哉。

「ああ、そうだな。」

「マネージャーになってくれてマジで助かったしな、連れてってやるさ。」

ありがとうみんな。

涙を流しながら私は拓哉に笑いかけた。

拓哉は今までに見せたこともない笑顔で返してくれた。




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