Sommerliches Doreiek〜ひと夏の恋〜
「さぁ、行こうか。」
茂森くんの声に皆が奮い立つ。
「よし、じゃあ電車に間に合う様に駅まで移動。改札の手前で点呼するから遅れるなよ。」
「はい!!」
キリッとした表情をした皆が自転車で移動していく。
みんな格好良いよ。
私はもう応援するくらいしかできないけど、みんなのこと信じているから。
どうか、悔いの残らない様に頑張って。
「おーいマネージャー。乗ってけ。」
カンペーが車の窓を開けてそう言った。
「え、でも……」
「どうせ今、自転車移動なんてできる状態じゃあないだろう。今まで部員達が世話になったお礼だ。」
「あ、じゃあ。」
そうして私はカンペーの車の助手席に乗った。
「シートベルト閉めて。……じゃ、行くぞ。」
車は静かに走りだした。
優斗のいなくなった集団を追い越し。
その淋しさを無意識に忘れようとしてなのか、カンペーは意外と今時の曲を聞いているんだな。って考えていた。