Sommerliches Doreiek〜ひと夏の恋〜
屋台から漂う香ばしい匂い。
ソース焼そばにフランクフルト、綿飴にかき氷、たこ焼きにりんごアメ。
皆で分け合いながら屋台を満喫した。
金魚すくいで4人で競争をした。
美穂は一匹だけ岡崎くんは三匹。
私は一匹もすくえなかったけど、拓哉は網を破らずにひょいひょいと金魚をすくっていく。
「ほぉ……上手いもんだ。彼氏金魚すくいの才能あるよ。」
金魚すくいのおじさんが言う。
「いやいや、彼氏じゃないですから。」
そう反論をしてようやく私は気付いた。
「あれ?美穂?岡崎くん?」
さっきまで隣に居た美穂と岡崎くんがいつの間にか居なくなっていたのだ。
「連れの2人ならさっきどっか行っちゃったよ?」
「うそ。ちょ、拓哉。いつまで金魚すくってるのよ!!」
拓哉はまだ金魚をすくっていた。
あ、カップに金魚が十数匹入ると意外と気持ち悪い……じゃなくて!!
「ん、ああ。ゴメンおっちゃんオレんちペット駄目だからリリースで。」
「あいよ。ありがとよ。」
拓哉はすくった金魚を水槽に戻す。
「もう、どこ行ったのよ。」
急ぎ足で歩く私。
拓哉はぷらぷらと屋台を横目に覗きながら歩く。