Sommerliches Doreiek〜ひと夏の恋〜
いつも通りの朝。
目覚まし時計を2つと携帯のアラームの音でようやく目が覚める。
「琴音、そろそろ起きなさーい。早くしないと拓也君来ちゃうわよ。」
キッチンからのお母さんの声で、私はようやく布団から出て、着替えを始める。
「ふぁ……眠い。」
変わらない朝。
遅刻ギリギリで目覚めて、着替え終わる頃に拓哉がやってきて学校に向かう。
変わってしまったのは私達の気持ちと、煩い転校生が居なくなったこと。
ポッカリと空いた胸の穴もちょっとずつ、ちょっとずつだけど塞がってきていると思う。
『ピンポーン。』
「琴音ー。」
「はーい、いま行く。」
拓哉がやってきてママがキッチンから叫ぶ。
駆け足で降りていってママにおはよう。って言って、拓哉におっす。って言って家を出る。
変わらない朝。
違うのはポストに一通の私宛ての手紙が入っていたということだけ。