Sommerliches Doreiek〜ひと夏の恋〜
お昼休み。
はぁ。
面白いくらい自然に溜息が出て、自分でビックリした。
「どうしたの琴音?」
隣にいた亜季が私を見る。
「いや、進路とか考えてて皆がんばってるなぁ。って……」
「皆って?」
私はクラスを見渡してみる。
改めてマジマジと眺めたクラスは思っていたより明るくはなくて、私が手に持っていた進路のプリントを手に難しい顔をした子がいっぱいいた。
「あれ?」
そのことに気付いた私を見て亜季が優しく笑った。
「みんな琴音と変わんないよ。何処に行きたいか、何をするべきなのか、何がしたいのか……頭抱えてる。」
「……でも、亜季はもう決めたんでしょ?」
輝かしいクラスメイトはその質問に眩しいくらい誇らしげに答えるのだと思っていた。
「私だって迷ってるよ。東京の高校は特待生じゃないし私立だから学費も高いし、市内の高校に特待生で行くべきじゃないか、陸上なんて未来は無いに等しいから普通に進学すべきじゃないか、とか。」
亜季の答えは凄く揺れていて、頭抱えて抱えて、それでも答えなんて簡単には出てくれなくて。
私達は二人で「難しいね」って呟いたのだった。