Sommerliches Doreiek〜ひと夏の恋〜
帰り道、いつもとは違う道を通ってみた。
河川敷を横目に少し狭い道を行く。
「亜季、今日は部活ないんだね。」
珍しく私は亜季と下校をしている。
「うん、コーチが家の用事があって来れないから休みになったんだ。」
最近は私は独りで帰ることが多くなっていた。
亜季と拓哉は部活に打ち込んでいるし、美穂は岡崎くんにべったりだし。
「亜季さぁ、佐野くんの何処が好きになったの?」
急な私の質問に、亜季はちょっとだけ頬をピンクにする。
「何処って……あいつ凄い一生懸命だし、なんていうか話したりして心地よかったから。かな?」
「ふーん。」
「自分から聞いておいて、ふーん。ってヒドい!!」
そう言って笑った。
私はある人を思い出して、ちょっと落ち込む。
それに気付いた亜季がギュッてしてくれた。
こりゃ佐野くんも惚れるよな。って何だか冷静に考えてる私がいて。
堪えきれなかった感情が一滴、亜季のブレザーに染み込んだ。