Sommerliches Doreiek〜ひと夏の恋〜
「あれ?また詩帆のCD増えた?新曲?」
私の机の上に置いてあったCDを指差し拓哉がそう言った。
夕焼けに照らされる少し暗い部屋に私は明かりをともす。
「違うよデビューシングル。『キセキ』って言う曲なの。かけてみる?」
私はもうCDのフタを開けながら、拓哉にそう聞いた。
拓哉は無言で頷く。
『
……………
風が止んで静けさ取り戻したら会いに行くよ
止まらないでボクの想いよ君に届くその日まで
』
部屋に流れる柔らかな曲調。
私はようやくそれを手にするのだった。
「……それが白鳥の。」
「うん、優斗から届いた手紙。」
拓哉が私の隣に座って、私はゆっくりと封筒の端を爪で切りはじめた。