Sommerliches Doreiek〜ひと夏の恋〜
その山の頂上にたどり着いた私。
そこはあるキャンプ場の跡地になっている。
「あ、もう来てたんだ……」
キャンプ場の一番高い杉の木の下で本を読んでいるヒトがいた。
私はゆっくりとその人に近づいていく。
「久しぶり、優斗。」
私の声に顔を上げて微笑む。
「やぁ、琴音。今日は彼氏と一緒じゃないの?」
にこっ。と笑う優斗の笑顔はあれから少しも変わらない。
「今日は大事な大会があるとかで、そっち行ってるよ。」
そう実は私に彼氏が出来たのです。
テニス一筋のスポーツバカで、すんごくマイペース。
「去年は来てくれたのに残念だな。じゃあ、あとは……」
「うん、拓哉だけね。」
少しだけ昔話をしていたら山のふもとから2人、このキャンプ場へとやってきた。
長身の男の子と、絵に書いた様な華奢で可愛い女の子。
「あれ?お前等1人なの?真由ちゃんと貴士さんは?」
拓哉はくるなり、ぶっきらぼう。
「真由は今日は風邪ひいちゃってこれないんだ。一応日本にはついて来てくれてるけどね。」
「貴士はあんたが負けた大会の本戦よ。」