Sommerliches Doreiek〜ひと夏の恋〜

結局なんだかんだと話をしていたら、いつも通りの時間になっていた。

熱い陽射しが私達を照らす。

斜向かいの木村さん家のポチ助(柴犬♂)も暑そうに舌を出してはっはって言ってる。

「暑いねぇ。」

「ん、ああ。そろそろ夏だもんな……総体も近いし忙しくなるわ。」

「まぁその前に期末あるんだけどねー。」

いつも遅刻ぎみだから、私達の朝の歩みは速い。

薬屋のおじさんが挨拶してくれるけど、笑顔を返して通り過ぎることもしばしば。

「ん?ちょっとヤバいな。急ぐぞ……」

「うん!!」


そこまで大きくはない拓哉の背中。

こうして数歩後ろから見ていると安心してしまう。

「……早くしろって。」

「……えっ!?」

ふいにギュッと手を握られてしまって、私の心臓は爆発しそうになる。

拓哉の手……あったかい。

心臓がドキドキしているのは、きっと暑い中走っているからなんかじゃなくて。

きっと――

「なぁ。」

「なっ、何!?」

走りながら拓哉が私を見た。

あれ?私顔赤くなってたりしないよね?

あれ?あれ?

「お前、手汗かきすぎ。ベタベタする。」

「…………。」






ムカっ。




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