Sommerliches Doreiek〜ひと夏の恋〜
「ははは。ゴメンゴメン。つい昔のつもりでさ、琴音を驚かそうと思ったんだけど。」
謎の転校生は自分の右ほおをさすっている。
「まさか平手打ちされるとは思わなかったよー。ははは。」
急に後ろから抱き付かれて驚いた私は、気が付いたら平手打ちをしていた。
「ゴメンなさい。というかアナタ誰?」
へらへら笑ってて示しが付かないから私はそう訪ねてみた。
男の子は少しだけ悲しそうな顔を見せ、すぐに笑顔をつくる。
「僕は白鳥 優斗(しらとり ゆうと)。そっか琴音は僕との約束忘れちゃってるのか……残念だな。」
残念だな。とか言いながら笑ってるよこの人。
それにしても優斗かぁ……
全然聞き覚えがない。汗
もしかして勘違いしているんじゃないかな。
「覚えてない?」
ちょっと悲しげで、いたずらな口調に私は思わずドキッとした。
優斗はにこっと笑顔を作り直す。
「まぁ、ゆっくり思い出してくれた良いよ。」
そう言って優斗はトコトコと入り口まで歩いていく。
クラスの皆、仰天な登場をしてくれちゃった優斗が何をするのか見ている。
「じゃあそろそろ、今日から皆の仲間になる転校生を"紹介してくれる先生"を紹介します。間先生です、ドウゾー☆」
「「「ええーーーっ、アンタが紹介するんかい!!」」」
ガラガラガラっと元気よく開く扉。
「はぁいカンペーこと間先生です☆」
「「「ええーーーっ、しかもカンペーのりのりじゃん!!!」」」
優斗とカンペーは満足気な満面の笑みをしながらハイタッチをしていました。
そっか、こいつらこの登場を綿密に練ってやがったな?
確かにカンペーこういうの好きそうだけどさ……
どうなのさ、いったい。
そんなこんなで、ことごとく私達の予想を飛び越えちゃってくれた優斗が私達の仲間になりました。